脳卒中と脳外傷の自動車運転

このページを読む前に「初めての身障ドライバー」と「基本的な免許制度」のページを読みましょう

◆相当の困難を覚悟する事が必要です。

近年、脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血一過性脳虚血発作)や脳外傷の後遺症を負った方が、退院後に運転を再開させる希望をお持ちの方が増えています。

医療の発達等によって、死を招く病気と言われていた脳卒中も、比較的元気に自宅へ帰ってくることが出来る人が増えたことが一因かもしれません。

このように、脳卒中や脳外傷の自動車運転は、歴史的にも始まったばかりです。従って、脳卒中や脳外傷の方が、自動車を適切に運転することが可能であるかどうかや、どの程度の障害の程度であれば運転可能か等について、医学的な根拠がありません。

脳卒中や脳外傷の場合、「肢体不自由」と「認知機能障害」が重複することがあるのが特徴です。片麻痺での運転だけでも大変ですが、これに認知機能の障害が重複すれば、その難易度は相当高いと当会は考えており、また、実際に運転レッスンなどの経験からも同様の感想を持っています。

当会では脳卒中の方が参加される「運転レッスン」を2016年から行っていますが、2017年度に行ったレッスンの実績を以下の図に示しますと、高次脳機能障害ありの方が初回レッスンで片道1時間往復2時間を無事故で走り切る方は0人でした。また「高次脳機能障害はない」と診断を受けた方は2時間の完走率は100%です。(但し全員が左アクセル非使用者) また、高次脳機能障害の有無には関わらず、左アクセル限定免許(右片麻痺)保有者の完走は0人という結果になりました。

完走できなかった方の原因については、「信号無視」が一番多く、次に「前方・側方不注意」、「車線逸脱」、「装置の操作ミス」となります。レッスンでは、助手席からブレーキをかけることが出来る機器を取り付けていますので、実際に事故になった事例はありませんが、そのような準備が無ければ事故になっていたという、深刻な場面です。

完走できなかった原因は、運転場面としては様々ですが、いずれも認知機能の障害や低下が主原因と想像できますが、それだけとは必ずしも言えず、使い慣れない装置への注意力と安全な運転のための周囲の確認などの注意力、また、座位保持不良による転倒への警戒感などが複合的に作用していたり、運転時間が長ければ長い程ミスが増えることから、運転による疲労が認知機能に悪影響を与えている、ということも考えられます。

困難な理由1 運転に必要な認知機能についての医学的根拠がない
自動車の運転と認知機能の関係について、特に診断書の作成に必要な医学的な根拠は不明なままです。安全な自動車運転に必要な認知機能とは何か?またどの程度必要か?については、国も研究を行っていますが、結論が出ていません。また諸外国でも同様と言われています。だからこそ、アルツハイマー病などの認知症は、程度を問わずに一括で欠格事項になっています。
困難な理由2 肢体不自由と認知機能障害が重複することが多い
脳卒中や脳外傷では、片麻痺等の肢体不自由と認知機能障害(高次脳機能障害)が重複している方が少なくありません。どちらか片方だけでも難易度が高い運転ですので、重複している場合は難易度はさらに上がります。
困難な理由3 高齢者が多い
若い方も罹患しますが、やはり高齢者が対象になることが多いのが脳卒中です。75歳で脳卒中で運転を再開したいと考えた患者さんから相談を受けたら、当会ではいつもこう答えます。「75歳と言えば健常者であっても免許返納を考える時期です。残念ですがあなたにとって運転とは、今日止めるか明日止めるかの選択にすぎません。遠からず車のない生活を送らなければなりません。今は車のない暮らしに出来るだけ若いうちから慣れておくことではないでしょうか」と。
困難な理由4 運転のリハビリ(練習)を担ってくれる人や場所が存在しない
本来最も必要なのが運転リハビリ(練習・訓練)ですが、わが国にはそのような運転りビリを担う施設はありません。ほんの一部の医療機関では院内に教習施設を併設しているところがありますが、よほどの運がないと入所できませんし、基本的に外来は受けていません。運転リハビリが制度的に整えば、より多くの方が運転を再開させるにも断念するには有用な仕組みになると考えていますが、残念ながら今はありません。
  初回2時間のレッスンで無事故無違反で完走した方
高次脳機能障害ありの方 19名中0名
高次脳機能障害無しの方 3名中3名
左アクセル限定免許の方 4名中0名

 

 

 

 

 

 

 

*2017年度の脳卒中・脳外傷後遺症の方の運転レッスンの実績。初回レッスンとは、臨時提携検査合格後に最初にハンドルを握ったタイミングでのレッスンを指す。

◆多くの方が自分の障害を甘く見ています。

レッスンを受けた方や、電話やメールで相談を受けた方の多くが、片麻痺での運転や、高次脳機能障害がある状態で運転することを甘く考えていることが多いです。免許証が更新出来たことで、「元通りに戻った」と感じることが多いような気がしますが、「免許証が更新出来たこと」と「きちんと安全運転できること」は全く異なります。免許証は「あなたが安全に自動車運転できる証明書」ではありません。

当会のレッスンを受けた脳卒中の方は平均で3,4回のレッスンを受けますが、その後も自分で運転しているという方は20人に一人程度です。

◆病院の検査では発見できない認知機能障害が、運転時に現れることは珍しくありません。

病院の事前の検査などでは認知機能障害はありません。と言われている方でも、信号無視や車線逸脱を起こす方が一定数います。またその逆に、病院の検査では認知機能に障害がありますと言われていても、特に問題なく運転できる人がいることも事実です。

◆何よりも必要なのは自覚

脳卒中や脳外傷の後遺症の中には、自分の障害について自覚が出来ない、という方がいますが、自覚が出来ない方へは基本的に運転をしないように助言を与えています。自分がどんな障害を持っていて、どんな運転場面でミスを起こしやすいのか?自覚があれば、訓練によって克服したり、常に注意するなどで克服できる可能性がありますが、自覚がないと何度練習しても好転しません。

◆それでも継続的な運転を手にした人がいるのも現実です。

多くの方が免許は更新したが運転は止めた、という帰結になりますが、困難を乗り越えて運転を継続できる人がいるのも事実です。運転をあきらめる人と継続させることが出来る人の違いについて、明確な見解は持っていませんが、1度や2度の事故ではめげない、という根性は不可欠だと考えています。また、当所有していた高次脳機能障害が年月の経過によって回復した。ということもあるかもしれません。

◆運転のためのリハビリは、公道でしなければならい

皆さんが病院で行った様々なリハビリ。ベッドや車いすへの乗降や、食事、お風呂、着替などは、リハビリを一生懸命やったからこそ身につき、自宅での生活が出来るまでに上手になったわけです。自動車の運転は、乗降やお風呂、食事や着替えなどよりも、はるかに高度な作業ですので、十分なリハビリ(練習)をしなくては、上手になれるはずがありません。

病院でのリハビリも、人によってすぐ上達する人もいれば中々上達できない人がいるように、運転のリハビリ(練習)も、早く上達する人もいれば、全く上達しない人もいます。当会の印象では、左片麻痺で杖が必要ない方であれば数カ月。杖が必要なら半年。4本爪の杖を使うなら1年必要でしょう。また右麻痺で左アクセル限定であれば、それだけで5年。杖をついていればさらに期間は伸びます。特に左アクセルで高次脳機能障害ありならば、当会の印象でしかありませんが運転は止めた方が無難だと思います。もちろん、これらの年月は当事者の年齢、障害の程度などによって一概に言えるものではありませんが、当会では相談を受けた場合は、一般論としてこのように回答しています。

病院でのリハビリではPTやOTの先生がそばにいて指導したり、事故が起きないようにサポートしてくれますが、運転リハビリは、そのような助けがありません。教習所等で練習できたとしても、何カ月も通うことは出来ませんので、最終的には自力で、公道でリハビリをする必要が出てきます。リハビリには失敗はつきものです。失敗してこそ上達への近道かもしれませんが、公道での失敗とは「事故」に他なりません。

免許手続き編

◆免許手続き1 はじめに

●そもそも免許更新が出来ない人は少なくない

 当会には年間何千件もの脳卒中脳外傷後遺症で認知機能の障害をお持ちの方ら相談がきます。必ず更新の結果について報告をもらっていますが、脳卒中の方で50人に一人。脳外傷の方では200人に一人程度しか免許更新を実現させることが出来ません。

●免許更新が出来ても運転してはいけない人も少なくない。

 免許更新の道は極めて狭い道ですが、免許を更新出来たあとに運転を継続的に行っている方は、さらに少数です。特に高次脳機能障害ありの方、左アクセル限定免許の方は知っている範囲ですが、70~80%が運転を止めています。また、運転禁止医薬品の服用をされている場合は、免許証が更新出来ても薬の服用が終わるまでは運転することが出来ません。薬については別ページに詳しく記載があります。

●道路交通法上は「高次脳機能障害」は「認知症」と同様に扱われます。

 道路交通法には、「高次脳機能障害」という言葉は出てきません。では脳卒中や脳外傷の後遺症について何と書いてあるのか?それは「認知症」です。但し欠格事項の認知症とは取り扱いが若干異なっており、その違いは症状が進行しないこと。回復の可能性がある点が考慮されます。

●臨時適性検査や診断書の提出は誰が決めるのか?

 臨時適性検査の対象になる、又は診断書の提出の対象になるかならないかは、免許センターの適正相談で決定します。事前に主治医に相談するのは問題ありませんが、決定権は主治医にはありませんので注意が必要です。

●免許の手続き2 まず何をすればいいか?

●基本のルール。いつ手続きをしたらいいのか?

原則は、運転を始める前に行います。退院してすぐに運転する方は退院後すぐに。そのつもりが無い方は、次の免許更新日に手続きをすれば大丈夫です。但し、手続きが完了するまでの間は自動車の運転は止めましょう。罰せられることがあります。特に、主治医から運転を控えるよう言われた方は絶対運転してはいけません。

●退院後すぐに運転したいと思ったらまずやること。

すぐに運転した方は、退院したら免許センターの「安全運転相談窓口」に相談に行きましょう。電話で予約してから出向きます。手続きはここから始まります。

●すぐ運転はしないが免許は持っていたい人がすること。

運転を始めようと決めるまでは、免許証はそのままで構いませんが、最終的には次の免許更新の際に強制的に手続きに入ります。

◆免許手続き3 診断書について

●診断書の提出を求められたら。

 免許センターの適正相談では、色々なことを聞かれます。病気の経過や現在の暮らしぶり。運転したい理由やどんな場所に住んでいるか?近くに公共交通機関があるか?家族構成や家族に運転できる人はいるか?どんな車に乗るのか?などです。免許センターはこれらの話を聞いたうえで総合的に判断し、診断書の提出を求めるか不要か決めます。従って病名が同じであっても人によって診断書が必要だったり不要だったりします。診断書の提出を求められた場合は、専用の用紙をもらえますので、受け取って主治医に渡します。

●診断書の入手方法と種類

診断書は病気別の10種類程度あります。免許センターでは、相談者に必要な診断書を用意して渡してくれますので心配はいりません。

●主治医が診断書を書いてくれない場合

診断書の用紙を持っていたっら主治医から受け取りを拒まれることがあります。またはそもそも運転に関する診断は出来ないと病院から言われることもあります。このような時は、免許センターに相談しましょう。代替の病院を紹介してくれます。

●診断書の中身を確認しよう

診断書を書いてもらったら、中身をよく確認しましょう。または、主治医から渡される際に、診断書の内容について詳しい説明を受けましょう。診断書に運転は無理である旨の記入があったら、その理由を明確に説明してもらいましょう。明確な理由がわかれば、一旦は免許が取り消されても、リハビリで回復させる可能性が高まり、免許を復活させるチャンスが増えます。

◆免許手続き4 主治医はどんな点を考慮して診断書を書くか?

脳卒中や脳外傷の場合は以下のような点について検査などを行い評価します。

●認知機能障害(高次脳機能障害)の有無や程度。机上検査やシミュレータを使います。

●ハンドルやペダル操作の適正(主にシミュレータなどを使います)

●再発の可能性 (脳卒中は再発リスクがゼロではない疾患です。運転中に再発したら大変なことになります)

●てんかん発作などがないか?(てんかん発作を起こした場合は、最後の発作から2年間発作が起きないことが証明できなければなりません)

●障害への自覚の有無

●ご家族の意向など

●服薬(診断書には影響しませんが、免許を更新出来ても運転は出来ませんと言われます)

◆免許手続き5 診断書の結果の種類と対策

●OKだった場合

あなたが臨時適性検査で合格して免許証を更新出来たら、それは本当にラッキーな方です。次は必要な自動車の改造の準備に着手しましょう。免許証に限定が付いていなくても、必要とする機器はたくさんあります。装置の選び方のページなどを参考にして、準備を始めましょう。

●ダメだった場合

臨時適性検査は一度きりのぶっつけ本番です。不合格になった場合は、免許証は取消しになります。但し、一定の要件を満たしていれば、取消しになった日から起算して3年以内であれば免許証を復活させることが出来ます。詳細はページ下段で紹介しています。

●保留の場合

保留と判断を受けたら決められた期間後(おおよそ6か月後)に改めて検査を受けることになります。次の検査までに主治医と相談し、不合格だった部分のリハビリに励みましょう。なお、保留期間中は「暫定免許停止処分」となります。

●肢体不自由について

臨時適性検査では主に肢体不自由についての検査を行いますので、出来る範囲で事前に練習(訓練)しておくとよいでしょう。例えば片手でハンドル素早く正確に回す練習やペダルの踏み替えを素早くできるような練習。またブレーキペダルを床につくまで思いっきり踏み込める力などは、家でも練習できるでしょう。

●認知機能について

よく病院の外来や通所でリハビリを継続している人がいますが、それだけでは足りません。自宅で出来るリハビリを積極的に取り入れて、出来るだけ認知機能を回復する努力が不可欠です。自宅でどんなことが出来るのかについては、主治医やPT,OT等の先生に相談に乗ってもらいましょう。いずれにせよ、人一倍の努力無くして合格は出来ません。

●3年以内の免許復活

適性検査で不合格となって免許取り消し処分を受けても、取消しになった理由が回復したなら、免許証を返してもらうことが出来ます。その期限は取消しになった日から3年以内です。この3年間の猶予措置を使うには、①直近の免許更新の際に更新用紙に記入した「5項目のチェック欄」に虚偽の記載をしていないことが条件になります。5項目のチェック表は免許更新時に全員が行っています。以下の写真のようなものですが、ここに虚偽の記載をすると、それだけで懲役1年以下罰金30万円以下の犯罪ですし、3年間の免許復活の権利も失います。

◆免許手続き6 適性検査の内容

●免許センターの適性検査って何をやるのかな?

臨時適性検査では、主に肢体不自由についての検査です。その他視野検査などを行うこともあります。

●肢体不自由の検査

ハンドルを素早く正確に回すことが出来るかどうか?(特に右片麻痺の方は難しいです)

ブレーキペダルをしっかり踏み込むことが出来るか?(急ブレーキをかけられるか)下肢の筋力や座位保持の能力が問われます。

アクセルとブレーキのペダルの踏み替えを規定時間以内に確実に行うことが出来るか?下肢の筋力(ペダル見ながらはできません。素早い動作が求められます。)

●認知機能の検査

基本的には診断書の内容が重要ですが、ケースによってはシミュレータなどで信号や左右の確認、標識に従えるか?車線を順守できるか?等の検査をします。また視野欠損や半側空間無視などがあれば、視野検査を行うこともあります。視野検査は左右上下の全方向で検査しますので、一部でも欠損や認識不足があると、不合格となる可能性が高いです。

◆免許手続き7 脳卒中の免許更新の判断基準

免許センターでは、脳卒中と脳外傷の判断基準は異なっています。参考までにまずは脳卒中の判断基準を警察の資料から抜粋して記載します。

◆免許手続き8 脳外傷の免許更新の判断基準

脳外傷の方の認知機能の判断基準は以下の通りです。

左アクセルの克服

◆利き手で無い方で、自助具でないお箸を利き手と同じように使って食事が出来るようになるよりも難しい。

脳卒中や脳外傷の後遺症で右下肢に麻痺などが残った場合は、アクセルペダルを左足で操作できる「左アクセル装置」限定という免許条件が付されることがあります。

左アクセル限定免許の付与は、右足できちんとペダル操作が出来るかどうかの検査によって決定します。右足は多少動くという場合は、実際に左アクセル限定免許になるならないかは、適性検査の結果によって免許センターが決めますので、本人や病院が勝手に考えてしまうのは早計です。左アクセルの操作は極めて難易度の高いものですので、出来るだけ左アクセル限定免許にならないように、多少でも右足が動くならば、訓練などでもっと確実にペダル操作が出来るようになってから免許手続きを行うことをお勧めします。

左アクセルの操作は、今まで右足でやっていた動作を左足で行うという、一見簡単そうに感じるかもしれませんが、右手で箸を持って食事をしていた方が、左手で同じ箸を使って、健常な頃と同じように箸を使えるのと同じくらい難しいものです。

もちろん訓練によって克服可能な方もいると思いますが、訓練を行う場所が公道での実際の運転になるため、訓練につきものの失敗=事故。ということを覚悟する必要があります。

個人差が多いと思いますが、小さなもの大きなものを含め、事故を繰り返しながら上手になってゆくことを覚悟した方が良いでしょう。

◆どんな難しさがある?

皆さんが健常者の頃、車の運転中にペダルや足のことを気にかけたことがあるでしょうか?自動車の運転において、ペダルの場所や、今どのペダルに足が乗っているか?アクセルからブレーキへ、またブレーキからアクセルへの踏み替えのタイミングなどは、無意識に行う動作で、一つ一つの動作を意識することはありません。しかし、左アクセルでの操作は、これらの動作やペダルの位置、どのペダルに足が乗っているのか?などは、頭で考えていないとわからなくなります。

よくあるトラブルは、「今自分の足がアクセルペダルとブレーキペダルのどちらに乗っているのか分からなくなる」というものです。もう一つは「踏み間違い」です。どちらのトラブルも、常に足とペダルに意識を向ける事で克服しますが、足ばかりに気を取られると、運転に必要な様々な注意がおろそかになってしまい、結果的に信号を見落としたり、横にいる自転車やバイクを見落としたりします。これらは脳卒中ではなく、右足切断の人たちでも起こりますので、認知機能に低下や障害のあるドライバーなら、なおのこと注意が必要です。

また、右足がマヒしていると、カーブや右左折、何かを避けなければならない場面などにおいて、体が倒れそうになることを支えることに足が使えません。健常な頃なら出来たはずの足の踏ん張りや、車内の内装に足を押し付ける、などの行為が出来ないため、運転中の座席からの転倒が起きます。

◆認知機能障害(高次脳機能障害)と自動車運転

脳卒中や脳外傷の後遺症として、多く見られるこれらの障害は、一般的に注意力や遂行力、空間認識力など、自動車の運転に大きな影響を与えますが、どの機能がどの程度運転に悪影響を与えるのかは、医学的に解明されていません。しかし、当会のレッスンの経験から言えることは、認知機能に障害があるドライバーは、何らかの異常な運転行動をとることが多いと感じます。

例えば、信号や左右確認の見落としなど、自動車を安全に動かせために不可欠なルールを順守出来ないことが多いです。また、エンジンの始動手順や発進手順が分からなくなる方もいます。それ以外にも車線の中央を維持して走行することが出来なくなったり、車線内でジグザグに走行したり、前方で停止している車に気付かないなども起こります。

これらのトラブルは、多くの場合自動車を発進させた直後から現れることは少なく、発進から一定の時間が経過したのちに現れることが多いのが特徴で、全ての信号を見落とすわけではなく、例えば100個の信号のうち1個を見落とすという状況が多いです。人間ですが信号を見落とすことはあり得ることですが、問題はその頻度ということとになります。

当会のレッスンでは、高次脳機能障害があると医師から診断を受けている方が、2時間の初回レッスンで無事故で完走する割合は0%であると前述した通り、特に運転再開直後では気を付けないといけません。これらの0%の人たちも、医師の診断を受け、臨時適性検査で合格している人たちですので、免許証を更新でいたことと、実際に安全な運転が出来ることは一致しないということをご理解いただきたいと思います。

◆その他

脳卒中や脳外傷の方の安全な運転に関する情報は、他のページにも様々な記載がありますので、是非見て下さい。