運転リハを担うのは誰なのか?

 当会が主催した「運転リハフォーラム2017」が無事に終了し、全国各地から約80名の医療従事者、教習所指導員、行政機関スタッフの方々にご参加いただきました。ご参加くださった皆様へはご遠方より大変なご足労をお掛けしつつお集まり頂きましたことへ、心からお礼を申し上げます。会場でご案内させて頂きました通り、この勉強会の参加費は全額来年開始予定のシミュレータシェア事業へ充当させて頂きます。

 さて、このフォーラムに向けて、4時間分の資料作りに取り組んだ8月でしたが、資料を作りながら個人的に考えたことがあります。それは、運転リハは本来どこが担うべきなのか?です。運転リハと一口に言っても、障害の部位や程度、病気の種類それぞれへの個別対応、能力評価や運転訓練など、患者さんの安全運転を実現しようとすれば、とてつもない仕事量、設備、体制が必要です。これまで、運転リハを担ってきたのは都道府県の公立リハセンターでした。今でも肢体不自由がメインになると思いますが、その役割を果たされています。しかし、医療点数等の制度の改悪や、患者の増大、免許制度の変更などによって、医療機関が担わなければならない仕事量とそれぞれのファクトごとの専門性、施設などなど、一医療機関が行うのは現実的に不可能ではないか?こう感じているところです。

 運転免許どころか、ADLすら完全に達成することが出来ずに退院を余儀なくされる患者さんも多いと噂ではありますが聞くこともある今の医療、リハビリの国レベルでの体制は、限界にきているのではないか?そんな状況の中で懸命に患者さんのことを想いつつ仕事に没頭されている医療従事者の皆さんに対して、運転リハまで押し付けるのは困難ではないのか、と感じています。

 そこで、それならば、医療機関に代わって担えるところはどこなのか?と自問してみますが、思いつく策は今のところありません。ただ、ヒントとなりうるアイデアはいくつか頭の中にあります。まずは、医療機関とは少々異なりますが近年増えて来た民間のリハビリ施設です。自費診療という事のようですが、リハビリにおいて病院では手の届かない部分を埋めてくれる存在ではあるようです。こういった施設が、退院後に運転リハの役割の一部を担うことの可能性はあるのじゃないか。と考えています。そして、次に運転補助装置のメーカーです。装置を作り販売するメーカーですから、装置の使い方を教えたり練習の場を提供することはある意味で企業の義務ではないか、と考えていますが、現在、そのような取り組みを具体的に行っている企業はありません。障害者が免許を取れるようになった昭和35年ころには、装置メーカーが教習施設を併設していたことがあると聞いています。そのような体制が今後新たに出来上がれば、医療機関の負担も減り、より安全な自動車運転を患者に提供できるのではないか、と考えていますし、メーカーには期待をしています。次に自動車販売店の役割です。販売店はこれまで自動車を販売することのみを仕事にしてきましたが、昨今の高齢ドライバー問題もあり、今後は安全運転を提供できる付加価値を自動車販売店がどう提供できるか?が社会的に問われてゆくのではないかと考えています。

 聞いた話ですが、かなり昔のことですが、東京都内の免許センター周辺に、免許センターへ提出する診断書作成のためだけの病院があったそうです。今は無いそうですが、そういった病院も近々再来するかもしれません。

 いくつかのアイデアを書きましたが、すぐにどうなるというものではないので、現在困っている医療従事者の方や患者さんにはあまり役立つ情報ではないと思いますが、個々の医療機関や医療従事者の取り組みと同時に、大きな枠組みでの体制の構築が必須なのではないか。そのために当会は何が出来るのか?資料を作りながらそんなことを考えていました。

 

2017年09月02日