運転技能検査の見直しに関する有識者検討会要約版

本要約版の作成にはAIを使用しました。

高齢運転者の運転技能検査はどう変わるのか

警察庁「運転技能検査の見直しに関する有識者検討会」第1回から第3回の要約と、見直しの影響

2026年9月26日現在

第1部 第1回検討会――なぜ見直すのか

第1回検討会は、2026年7月8日に開かれた。議題は、高齢運転者の事故の状況、現行の運転技能検査、検査合格者の追跡調査、今後の検討の進め方である。

現行制度と見直しの理由

運転技能検査は、75歳以上で一定の交通違反歴がある人が、免許更新時に受ける実車検査である。新たに免許を取得する人と同じ技能を求めるものではない。安全運転が期待できないほど技能が低下した人を見極めることを目的としている。第一種免許では70点以上が合格で、更新期間内に繰り返し受けることができる。

警察庁が示した追跡調査では、検査合格者の人口10万人当たりの事故件数は、違反歴がなく高齢者講習の実車指導を受けた人より多かった。事故を起こした合格者の中には、検査時に一時停止で減点されていた人もいた。また、合格後の事故では安全確認の不足が問題として示された。

ただし、比較された二つの集団は、検査を受ける前から違反歴の有無が異なる。この数字だけで、検査が事故を防げていない程度や、検査を変えた場合の事故減少効果を確定することはできない。

議論された見直し

  • 複数の運転操作を組み合わせる課題を追加すること。方向変換、S字、クランクが候補に挙がった。
  • 現行の採点では評価していない「安全不確認」を減点項目に加えること。
  • 重大な一時不停止の減点を重くすること。

委員からは、検査を厳しくすることだけでなく、受検前後の教育、検査結果を安全指導につなげる方法、教習所の実施体制、免許を更新できない人の移動手段についても意見が出た。第1回では見直しの方向性を確認したが、個々の変更は決定していない。

第2部 第2回検討会――課題をどう絞るのか

第2回検討会は、2026年7月29日に開かれた。委員は現行の検査を視察した後、第1回の論点を整理し、報告書の取りまとめに向けて議論した。

方向変換を加える意見が中心に

方向変換、S字、クランクをすべて追加すると、検査時間や再受検者が増え、受検待ちが長くなるおそれがある。検査後の安全指導に使う時間も減りかねない。このため、追加課題は、後方や左右に注意を向けながらハンドルとペダルを操作する「方向変換」に絞る意見が多かった。

一方、普段は軽自動車を運転する人が、検査では車両感覚の異なる自動車を使う場合の難しさも指摘された。課題の実施方法には工夫が必要だという意見である。

採点方法について残った論点

安全確認を評価することには異論がなかったが、どの場面で何回確認するかについては複数の意見が出た。一時停止の場面に限定する案と、標識のない交差点なども対象にする案がある。また、交差点に進入するまで止まらない「一時不停止(大)」の減点を引き上げる意見が出た。

検査対象を違反歴のない人にも広げること、事故を繰り返す人への対策、サポートカー限定免許との連携、教育の充実などは、中長期的な課題として挙げられた。第2回でも、制度変更の最終決定は行われていない。

第3部 第3回検討会――実証実験と報告書の方向性

第3回検討会は、2026年8月24日に開かれた。報告書案を議論し、案文の修正と最終決定を座長に一任した。その後公表された報告書は、三つの見直しの方向性を示している。

  1. 検査課題に「方向変換」を追加する。
  2. 減点項目に「安全不確認」を追加する。
  3. 「一時不停止(大)」の減点を引き上げる。

実証実験が示したこと

4都県の受検者147人を対象とする実証実験では、現行基準による合格率は93.9%だった。方向変換、S字、クランクなど、検討した見直し項目をすべて適用した場合は70.7%、上記の三つの方向性に絞った場合は81.6%となった。すべての課題を加えた場合、課題に要する時間の最頻値は11分から17分に延びた。

この結果を踏まえ、報告書は追加する課題を方向変換に絞り、検査後の安全指導の時間を確保する方向を示した。実証実験の合格率は147人についての結果であり、変更後の全国の合格率や事故減少数を予測した数字ではない。

検査の外にある課題

委員からは、安全に移動できる手段の確保、運転教育、サポートカー限定免許との連携が求められた。ソーシャルインクルージョンの観点から、安全を保ちながら運転を続けられる期間を延ばすことも論点となった。これらは今回の検査項目の変更とは別に、今後検討すべき課題である。

第4部 全体――何を変え、どんな影響があるのか

見直しの狙い

今回の見直しは、実車検査で確認する運転行動を増やし、事故につながる危険をより適切に見極めようとするものである。会議は、検査を単に難しくすることを目標とはしていない。危険な運転を見極めること、安全指導につなげること、検査を実施できる体制を維持することの均衡を図っている。

現在の改正案と、会議の提言の違い

運転技能検査は、2020年の道路交通法改正を受けて導入された。2026年9月18日に公表された今回の改正案は、道路交通法そのものではなく、道路交通法施行規則を改正して「方向変換」を検査項目に加えるものである。2026年9月26日現在は意見募集の段階で、案では2027年6月1日の施行が予定されている。

有識者会議の報告書は、安全不確認の減点項目への追加と、一時不停止(大)の減点引き上げも提言した。しかし、この二点は9月18日公表の府令案の条文には明記されていない。会議の提言と、現時点で公表された改正案を区別して読む必要がある。

期待される効果

  • 現行検査で十分に評価できなかった複数の操作や安全確認に目を向けられる。
  • 受検者が自分の運転の弱点を知り、具体的な安全指導や練習につなげられる可能性がある。
  • 安全運転が期待できないほど技能が低下した人を、より適切に見極められる可能性がある。

懸念される影響

  • 不合格や再受検が増えれば、本人の費用と時間、教習所の負担、受検待ちが増える。
  • 免許を更新できない人には、通院、買い物、家族との交流など、生活上の大きな影響が生じ得る。公共交通の少ない地域では特に深刻である。
  • 普段と異なる検査車両や身体機能の違いが評価にどう影響するか、採点と実施方法を丁寧に設計する必要がある。
  • 検査時間が延び、安全指導の時間が削られるなら、運転を改善する機会が弱まるおそれがある。

今後、確かめるべきこと

方向変換での成績が、その後の事故の危険とどれほど関係するのか。見直しによって事故は減るのか。再教育を受けた人の運転は改善するのか。免許を更新できなかった人は、必要な移動をどう確保しているのか。これらは、制度を実施した後に追跡しなければ分からない。

交通事故を防ぐことと、一人ひとりの移動を支えることは、どちらも社会の責任である。検査結果を免許更新の可否だけで終わらせず、教育、利用できる車両、安全な代替交通、地域の支援につなげられるかが、この見直しの重要な課題となる。

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